トランスレスとはいえ、ちょっとぜいたくにしようと思った0−V−2です。

ぜいたくな点は下記です。
・検波管に高gm(gm≒15,000)の6EJ7を使って高感度化を狙った
・検波管の負荷に 100Hのチョークコイル(2000年頃秋葉原の春日無線に特注)を使った
・電源にはFET式のリップルフィルタを入れた
・いまどき入手困難な直径 30mm のプラグインコイルとアンテナ端子を使った(昔は定番だったんですけどね)

ケチった点は下記です。
・電源トランスは高い(重い、チョークコイルにハムを誘導する、場所を取るなどの問題がある)ので省略した
・バリコンはアルプスの B-15 にしたいところだが、もったいないのでFM-AM用をパラ(約330pF)にして使った








作って電源を入れたら一発で鳴ったものの、盛大なハムが出て、しかもゲルマラジオ並の超低感度でした。せっかく高gm
の 6EJ7と 100H のチョークコイルを使ったのに。

ハムはオシロで見ると 100Hz のスパイクノイズが目立ったので、電源のシリコンダイオードに 0.01μFをパラにしたらかなり
減りましたが、まだ気になります。AC100V のラインからシャーシに落としてあるコンデンサの見直しなどをして、AC100V のホ
ットとコールドの両側からシャーシにつないであった 0.01μF×2個を取り除いた状態が一番よかったので、そうしました。そ
れ以上のハム対策は後回しにして、先に超低感度対策をしました。

再生用ボリュームをほんの少し回しただけで発振しましたので、スクリーングリッドの電圧を測ったら、たったの3.5Vから
発振しました。(どの周波数でだったかは記録していません。)これは、6EJ7が高gmなのに科学教材社の 6AU6(gm≒
4000)を使った 0-V-2 用のコイルと同じ巻き数のコイルにしたのがまずかったわけです。科学教材社のBC帯用コイルの
カソードタップ〜グランド間は 15.5回巻きで、これを減らしていって、たったの1.5回にして、やっとスクリーングリッド電圧が
20V〜30V(周波数による)くらいで発振するようになり、感度は正常になりました。

それでも高gm球を使ったら高感度だろうと思い、自作の「ウルトラダイン受信機」と比べてみました。「ウルトラダイン受信
機」は、BC帯と短波帯では 0-V-2 として動作しますので。「ウルトラダイン受信機」はgm≒7,000 の 6GH8の五極部を使
っていますが、耳で聞いた感じでは差はなさそうでした。しかも、短波帯では「ウルトラダイン受信機」の方が再生のかかか
具合がスムーズでした。がっかりです。結局、6AU6 を検波管に使って科学教材社のコイルと同じコイルを使うのが簡単・
確実で感度も遜色ないようです。

さて、ハム対策ですが、再生を最小にした状態ではボリュームをかなり上げてもハムは気になりませんので、原因は再生
検波段に違いありません。検波管にシールドケースをかぶせると、わずかに減ります。下記の処置・実験は効果がありま
せんでした。
・電源プラグを左右逆にしてコンセントに挿した
・ヒーターを外部の直流安定化電源で点灯した
・B電源も外部の直流安定化電源から供給した
・検波管のB電源の前にリップルフィルタを追加した
・検波管の負荷の 100H のチョークコイルを 220kΩの抵抗に変えた
・6EJ7を交換した
・6EJ7の代わりにgmがもう少し低い6BX6を挿した
・gmが低下した6BX6を挿した(感度が下がったとは感じられなかった)
・天井裏に引き回してあるAC100Vラインからの誘導かと思い、クルマの中に持ち込んでAC100Vで鳴らした

しかし、ヒーターを直流で点灯してもあまり効果がないというのは不思議です。カップリングコンデンサを 0.1μFから 0.01μFに変更する処置だけにしてあります。

後日、6EJ7 をやめて 6AU6 にしましたが、あまり変化は感じられません。コイルのタップは、6AU6 でも、科学教材社のキットの記事よりグランド側に近いほうがいいです。検波管の負荷に抵抗ではなく、チョークコイルを使ったせいでしょうか。ともあれ、0-V-2 には 6AU6 で必要十分です。6C6 だったらどうかなあ、と思います。

あと、6AU6 の G3 をカソードにつなぐとボディーエフェクトが大きいとの説を見ましたので、直接グランドにつないでみたのですが、差は感じられませんでした。6AU6 のシールドケースも、あってもなくてもほとんど差はありませんねえ。

後ろとシャーシ内部の写真です。