●ESCORT
ESCORT は 1978年に、当時のレーダー探知機としては珍しい(唯一?)スー
パーヘテロダイン方式を採用した高性能機種です。当時は、ホーン型のアン
テナを備えた大きく不恰好な直接検波方式の機種がほとんど(あるいはすべ
て)でした。そのため、当時、他のレーダー探知機よりはるかに高性能でし
た。$245 と高価でもありました。その後数年間にわたり、他社がスーパー
ヘテロダイン方式の機種を売り出すようになってからも、自動車雑誌の比較
テストでは、常にトップの性能でした。
そのため、日本へも輸入され、週刊誌に広告が出ていました。「本物登場!
レーダーディテクターの雄 エスコート 只今絶賛発売中!」と。値段がなん
と、158,000円でした。逆に、1984年のアメリカの「CAR and DRIVER」という
雑誌には、前記の日本の広告の写真を載せ、「日本では $714.93 で売られて
いる」という広告していました。アメリカでは 120万台以上売れたようです。
あまりに有名だったので、似たようなデザインの製品が売られました。とく
に、レーダー探知機の世界でもようやく追いついてきた日本製などで。
Cincinnati Microwave社は当時、メーカー直販で、高くても高性能なものを
売り、サポートをしっかりする方針だったようです。外見は 1978年の発売当
時とほとんど変えていませんが、内部は何度も改良されました。例えば、製
造番号 200,000~399,999 までのものは「ST/O/P」という、他のレーダー探
知機からの漏れ電波で誤動作しないようにする回路を $75 で追加してもらう
ことができた時期がありましたし。また、製造番号 200,000~1,200,000 ま
でのものは、「RASHID」という、衝突防止システム信号で誤動作しなくする
「AFR」機能を $80 で追加してもらうことができた時期がありました。
ESCORT の名前では、後期に針式のメーターをやめて LED によるバーグラフ
化し、小型化したモデルが 1989年ごろ出ました。$295 もしていましたが、
同じ値段でもっと小型の「PASSPORT」が 84年ごろから出ていましたので、
あまり売れなかったのではないかと思います。この小型 ESCORT では、2ヶ
月に一度、付属のキーを挿してやらないと、動かなくなるという機能が付い
ていました。「クルマから本体だけ盗んでもダメだよ」という意味です。
●PASSPORT
1985年ごろ発売されました。チップ部品を使い、カセットテープのケースと
同じくらいの小ささで、性能も ESCORT と同等でした。ケースの表面はつや
消しになっており、手に持ったときに高級感を感じました。ESCORT 同様、
アラーム音の鳴り方が信号強度(≒レーダーからの距離)をよく示す点が非
常に使いやすかったです。最高のレーダー探知機でした。
PASSPORT も、他社が類似品を出しました。UNIDEN の RD 9 です。RD 9 は、
外観を少しだけ変えたものが、Cobra ブランドの「RD3160」や Radio Shack
ブランドの「Road Patrol XK」としても売られました。もちろん、質感と性
能は PASSPORT がずっと上でした。
製造番号 550,000 までの PASSPORT には「AFR」機能が付いていませんのが
、$80 で付けてもらうことができました。