【6.2】エレクトロニクス工作に興味を持ったきっかけと、製作史

小学校3年生のとき、母の実家にあった ST 管式の5球スーパーをわけもわからずに分解し、使うあてもないのに部品をダンボール箱に入れて保存しておきました。これが電子部品との初めての出会いでした。

4年生のとき、近所の3歳年上のお兄さんがゲルマラジオを作ったのを真似て、教わりながら上記の5球スーパーのアンテナコイルと2連バリコンの片側を使ってゲルマラジオを作りましたが、鳴りませんでした。電話工事中の電柱の下で拾ってきたビニール線をつないで長くして天井に這わせてアンテナにしたのですが、ビニールの被覆があるのがいけないのかと思って被覆をはがしたりもしました。お兄さんは単連バリコンと緑の並四コイルを使っていましたので、部品の違いせいではないかとそのお兄さんに聞いたら、「そんなことはない。」とずいぶん自信ありげに答えました。昔のラジオ少年は基礎知識がたくさんあったんでしょうね。

結局そのゲルマラジオは鳴らなかったので、電子工作にはのめりこまず、モーターや豆電球を使った工作やプラモデル作りを続けました。小学校5年生のとき、科学教材社のゲルマラジオ(コアをスライドさせて選局する、当時 \250のやつ)を買ってもらいました。山間部でしたが、電灯線アンテナをつなぐと鳴りました。感激。これで将来進む道が決まりました。電灯線アンテナをつなぎっぱなしにすると電気代がかかるのではないかと心配し、抜いて寝ました。なお、最初のゲルマラジオが鳴らなかったのは、たまたま家にあったので使ったクリスタルイヤホンが不良だったためと判りました。

この年、初めてトランジスタラジオを分解して部品取りしました。2SA468 や 2SB56 が付いていればうれしかったのですが、2SC76、2SD64 などのゲルマニウム式 NPN トランジスタが使ってあり、流用の機会がありませんでした。(2本残っています。)家になぜかあった 80W のはんだごてを使い、こて先を磨くことを知らなかったので、なかなかはんだが溶けず、分解しているうちにプリント基板が熱のために反り返ってしまいました。

多分、前記の近所のお兄さんが読んでいたのを見せてもらって、「模型とラジオ」や「初歩のラジオ」を知ったのでしょう。たまに買うようになりました。(今思えば、親に無理に頼み込んででも、全号買ってもらえばよかった。)このころの雑誌も田舎に保存してあるのですが、何度も何度も読み返したため、表紙は無くなったり破れたりして、ボロボロになっています。田舎町では「ラジオの製作」は売っていませんでしたので、その存在をはじめて知ったのは、隣町の高校へ通うようになってからでした。「ラジオの製作」を読んいれば、読者が「こういう回路で作ったが動かない。どこが悪いでしょうか?」と質問するページが充実していたので、そのページで勉強し、もっと早く技術が向上したのではないかと思います。

6年生になる年の書きぞめに、張りきって「ラジオ作り」と書いたのですが、みんなは「努力」とかなんとか書いていたので、ちょっと恥ずかしかったです。小学校6年生のときに、雑誌の記事を見て簡単なものは作れるようになりました。下記【5】に説明してある1石レフレックスラジオ、1石アンプ(兼モールス練習機?)は6年生のときに作ったのは確かです。

6年生のときには、「ラジオ教育研究所」の通信教育の受講を始めました。全6巻のテキストは立派でしたが、古い初版を改訂してきた教科書のようで内容が古く、一部ST管式ラジオの回路図が載っていて、トランジスタについては申し訳程度に出ているだけでした。y=ax+b さえ知らない小学生には難しい部分もありましたが、それより、古い教科書なので漢字が難しくて閉口しました。「乃至」なんて読めませんよね。

田舎町の小さな中学校には、残念ながらアマチュア無線クラブはありませんでした。(電子工作をする部も、2年生のときの一時期にあっただけです。)でも、1年生のときに親戚の家でトランスレス式のマジックアイ付き5球スーパー(12BE6-12BA6-12AV6-30A5-19A3-12ZE8)、だれかが昔作った5球スーパーの残骸、AMラジオ付き真空管式白黒テレビをもらってきたので、部品取りにしました。この自作ラジオに付いていた電源トランスが、下記【7.11】の多機能ラジオに使ってあります。また、真空管式白黒テレビが粗大ゴミによく出ていたので、部品入手がだいぶ楽になりました。出力トランス、シリコンダイオード、東芝の電源トランス付きテレビに付いていた、ヒーター電圧が6.3Vの真空管等々。おかげで中学時代には下記【7】のように、いろいろ作ることができました。

【6】初期の作品
以下に出てくる写真は、【1】の作品の写真と同じですが、解説は写真の下のより下記の方が詳しいです。

【6.1】モールス練習機

「模型とラジオ」1968年10月号に出ていた、1石でスピーカを鳴らす低周波発信器。これが雑誌の記事を見て作って動いた最初の作品です。うれしくてさっそく両親に見せに行きましたが、「あ、そう」程度の反応で、がっかりしました。なぜそれを作ったかといえば、手持ちの部品で出来た雑誌の製作記事がそれだけだったからです。前記の5球スーパーから取った 2kΩ 1W の抵抗と、前記のトランジスタラジオから取ったアウトプットトランスを使ったことを覚えています。ビニール線を部品の足によじってからげて配線しただけで、すぐにバラしてしまいました。

【6.2】 1石アンプ(兼モールス練習機?)
これも「模型とラジオ」に載っていたのではないかと思います。1石のアンプは1石のラジオにつないでスピーカーを鳴らすためのアンプだったと思います。モールス練習機に切り替えることができたような気もします。カマボコ板とベニヤ板で作ったケースに入れ、スピーカの前の部分には布を張っていました。学校へ持っていったのですが、性能的に級友に感心されるものではありませんでした。(^^;

【6.3】1石レフレックスラジオ
2SA355 を使ったと記憶しています。1m くらいのロッドアンテナをつなぐと、田舎でもなんとか聞こえました。水色のタッパーウエアをケースに入れていました。このラジオから、「ブルーライト横浜」が聞こえてきたことを記憶しています。

【6.4】1石 AM ワイヤレスマイク (キット)
科学教材社の「スクール3型」というキットで、カーボンマイクと 2SA156 使ったキットでした。厚紙の箱の上に作るタイプで、コイルはプラスチックの筒にエナメル線を巻いて作りました。ちゃんと動作しましたが、ある日いじっていたら、ベースとコレクタでもショートしたのか、壊れてしまいました。これで NEC のトランジスタに対する印象が悪くなりました。(逆恨みですが。)そもそも、他社のより細くて頼りなく見えました。

【6.5】2石ワイヤレスマイク (失敗作)
やっぱり誰しも送信したくなるもの。「模型とラジオ」1969年2月号に載っていた2石の中波帯用のワイヤレスマイクを作りましたが、動きませんでした。共振回路に 200uH くらいのチョークコイルが使ってありましたが、そのインダクタンスが重要だとは知らず、たまたま持っていた、外観がよく似たインダクタンスの判らないものを使いましたので、どの周波数に共振していたか判りません。

【7】中学生時代
【7.1】単球再生検波式ラジオ

「模型とラジオ」1969年1月号に載っていました。通信販売で小沢電気から 6AU6 を買い、セミトランスレスで再生検波式のラジオを作りました。初めての真空管式ラジオです。鳴りました。6AU6 が届いたとき、NEC のだったので、ちょっとがっかりしました。頭頂部の排気の跡が曲がっていたりして、今一つ美しくないんですよね。当時、受信管は東芝のが一番作りが美しいと思っていました。

【7.2】6GW8 単球ラジオ
「模型とラジオ」1968年11月号に載っていたラジオです。セミトランスレスで、3極部でグリッド再生検波し、5極部で電力増幅するタイプです。グリッドリークの 1MΩ と並列にするコンデンサに 250PF が指定してありましたが、250PF だと「ブー」という大きな音がして動作せず、100PF にしたら動作しました。250PF のとき単にハンダ付け不良だったのかもしれませんが、「動けばOK」で、それ以上調べませんでした

ところで、なぜ 6BM8 ではなく 6GW8 かと言いますと、小学校のときに読んだ雑誌のどこかに「6GW8 は6BM8 より新しくて性能がよい」と書いてあるのを見たからで、それ以来、なんとかの一つ覚えで 6BM8 や 6AV6+6AR5 の代わりに 6GW8 を使い続けました。その後、日立の白黒テレビをバラして 6BM8 を入手するまでは。

【7.3】 BC帯用ワイヤレスマイク
6GW8 によるアンプ回路に 6AV6 による発信回路を付けただけのものです。うまく動作しましたが、ボリュームを上げると 6AV6 の内部で火花が散ってびっくりしました。このワイヤレスマイクのときだったか、別のワイヤレスマイクのときだったか、数十mのロングワイヤーをアンテナにして実験していると、直線で 300m ほど離れた、山の向こう側の家の友達の伊藤君から、「今送信していただろ?聞こえたよ。」と電話がかかってきました。予告してはいなかったのですが。

【7.4】6GW8 単球アンプ
電圧増幅段と電力増幅段のあいだに、ボリュームと、高音を調節するトロール回路を付けただけのものです。言ってみれば、5球スーパーの低周波増幅段です。これを「初歩のラジオ」の「読者の研究室」に投稿したら、意外にも掲載されました。負帰還もかけてないし、グリッドリークは描き漏らしていて批評はさんざんでしたが、「薄謝」としてもらった 2,000円は非常にありがたかったです。

【7.5】0-V-1
多分 6AU6+6AV6 の構成だと思いますが、かまぼこ板とベニヤ板で作ったシャーシに組みたてました。ロングワイヤーのアンテナでラジオオーストラリアが聞こえたのがうれしかったです。30年後に仕事でオーストラリアへ出張するなどとは思いもよりませんでした。

【7.6】0-V-2
多分、6AU6+6GW8の構成だったと思います。これはアルミのシャーシに作りました。BC 帯用のコイルは巻く回数が多くて作るのが面倒だったので、並四コイルの端子の接続を工夫してBC帯用コイルにしたら、ちゃんと聞こえてうれしかったです。P-M の巻線を G-Eの巻線につなぎ、その接続点を K 端子として使ったのだ思います。

【7.7】 3石 AM ワイヤレスマイク (その1)
「ラジオ製作ABC」(昭和42年版。科学教材社のキットの説明と回路図と販売している部品の一覧が載っているという、夢のような本です。)を見て作りました。低周波2段増幅で、ST-23 を変調トランスにし、発振回路を変調するだけのものです。発振コイルは#88 コイルでした。いくつも試した AM ワイヤレスマイクのうち、トランジスタ式かつ高周波電力増幅段なしの中ではこれが一番飛びました。と言っても、FM ワイヤレスマイクにはかないませんでしたが。

【7.8】3石 AM ワイヤレスマイク(その2)
「初歩のラジオ」の東芝のページに載っていたもので、珍しくベース変調でした。なんと、2SC482による高周波電力増幅段が付いていたのが魅力でした。なぜか動きませんでした。高周波電力増幅段が付いた BC 帯用ワイヤレスマイクは、ほかには当時の「初歩のラジオ」で一つ、「ワイヤレスマイクとトランシーバ」なる書物で一つ、90年代の「ラジオの製作」で一つ見ただけです。その1968年か69年ごろの「初歩のラジオ」の記事は、私が買い漏らした号なので、詳細は判りません。どなたかその号をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。(無理に譲ってくださいとまでは申しません。)

【7.9】2球ニュースカイトランシーバ
科学教材社で売られていた超再生式のトランシーバの回路図が雑誌に載っていましたので、その回路で作りました。きっかけは、中学1年のときに友達の伊藤君が親戚の家からもらってきたテレビに 7AU7 が使ってあったことです。それを見て「こ、これは 12AU7 のヒーター電圧違いの球に違いない。それなら 6.3V で点灯して、あのトランシーバができる!」と思いつきました。

12AU7 の1/2 で超再生検波/自励発振、残りの半分で低周波電圧増幅、6AR5 で電力増幅/変調というもので、ニ光通販で売っていた 2RQ というトランシーバと同じ構成のやつです。その昔、3A5 による電池式のトランシーバが定番だったそうですが、私の時代の「初歩のラジオ」には載っていませんでした。「トランシーバとインターホン」という本には載っていましたが。
うまく動き、おもちゃの5石トランシーバとも交信できました。S君も同じものを作り、夕方 NHK ラジオの「続基礎英語」を聞いた後に「定時連絡」と称して交信していました。メリット3くらいでした。あの性能はたいしたものです。アンテナ端子に 6.3V 0.15A のパイロットランプをつないで送信すると、うっすらと点灯するだけのパワーがありました。とても楽しかった作品の一つです。

★7AU7はここです。

【7.10】 2石高一ラジオ
ご存じ泉弘志先生の記事を見て、電池1本で動く2石高一ラジオを作り、木で作ったケースに入れ、ベッドラジオとして聞きながら眠っていました。1.5Vで動作し、消費電流が少ないので、電源を入れっぱなしにして眠ってしまっても、電池が長持ちしました。

【7.11】 多機能ラジオ
ラジオ工作の集大成として作りました。5球スーパー相当のラジオ、BC帯用ワイヤレスマイク、短波帯用ワイヤレスマイクなどになるものを作り上げました。構成は、6BE6:周波数変換、6BA6:中間週は増幅、6GW8:低周波増幅、6BD6:発振、です。B電源はシリコンダイオード SD-1(パワートランス左の緑の丸いやつ)によるブリッジ整流です。このようなぜいたくは、バラした電子レンジからSD-1 がたくさん出てきたおかげです。たくさん直列にしてありました。本機は現物が残してあります。デジカメで写真を撮るときに眺めて、「よくもまあ小さなシャーシ内にこんなにたくさんの部品を詰め込んだものだ。しかも 60W の太いはんだごてを使って。」と感心しました。
★多機能ラジオの外観はここです。
★多機能ラジオの内部はここです。
★多機能ラジオの回路図はここです。

【7.12】 高一中ニ受信機
「初歩のラジオ」の記事の回路図をいろいろ検討し、中学2年生の秋に、おもに田ヶ谷正久先生(お元気かなあ)の記事を基にした回路で高一中ニ受信機を作りました。もちろん部品はテレビやラジオから取ったものを最大限に活用しました。3連バリコン、球、出力トランス、電源トランス、C・R類など。4バンドのコイルパックは高くて買えませんでしたので、トリオの RF付S-B コイルによるモノバンド(3.5MHz~10MHz)仕様です。メカフィルは買えず、T-21 を使っただけです。

ケースはリードの AS-2です。もっと格好がよくて大きなケースにしたかったのですが、そういうのは高くて買えませんでした。前面パネルが鉄板だったので、穴開けにはかなり苦労したはずですが、なぜか苦労した記憶がありません。このケースではシャーシが内部で固定されず、浮いていて(前面パネルだけでケースに固定されていて)、その構造が不思議でした。19インチラックというものを知るまでは。

最初の構成は以下の通りです。高周波増幅:6BA6、周波数変換:6BE6(自励)、中間周波増幅:6BA6×2、プロダクト検波:6BE6、BFO:6AV6、低周波増幅:6GW8、電源:シリコンダイオード整流としました。これで結構小さくできました。

電源トランスは5球スーパー用しか持っていなく、当然B巻線の電流容量が不足でした。そこで考えついたのが、250V×2、60mA の両波整流用の巻き線を別々に使えば、250V 60mA の電源が二つできるであろうという、愚かなアイデアです。当然ながら、どちらの巻線からの整流出力も電圧降下が大きく、結局普通の両波整流にしました。それでも容量不足は変わりませんが。せめて 6GW8 で浪費させている分をバイアスを深くして減らせばよかったのですが、「6AR5 のカソードには 420Ω、6GW8 には 170Ω」しか知識はありませんでした。

一発では動きませんでしたが、少しの手直しで鳴りました。1971年当時は 3.5MHz 帯に AM局がわずかに残っていて、「クズ屋でテレビの水平出力管を10円で買ってきて送信機の終段に使っている」などという楽しい会話が聞けました。SSB も復調できましたが、おもに AM局を聞いていました。SSB だと人の声が不自然で、楽しくありませんので。

本機は大学時代に (1)周波数変換段の他励化、(2)プロダクト検波+BFO を 6BE6×1で済ます、(3)低周波増幅段は IC (LM380)式に改造しました。局発は電源投入後 45分でほぼ安定するようになりました。それまでは、いつまでたっても SSB を受信中はダイヤルから手が離せませんでした。写真は改造後です。Sメータの下の穴は、Sメータのゼロ調整用ボリュームの跡です。最初、ツマミはたくさんあった方がカッコいいと思って前面に付けていました。
★昔作った高1中2受信機(前面)はここです。
★昔作った高1中2受信機(シャーシ上)はここです。
★昔作った高1中2受信機(シャーシの内部)はここです。
★昔作った高1中2受信機の回路図(1/2)はここです。
★昔作った高1中2受信機の回路図(2/2)はここです。

【7.13】プリアンプ
上記の高一中ニを製作後、しばらく 3.5MHz と 7MHz を聞いていると、どの局も大抵 RS=59 とレポートしていました。しかし、私の高一中ニ受信機のSメータは、IF のゲインを最大にしても、せいぜい3~4目盛程度しか振れませんでした。これは恥ずかしいと思い、2球式のプリアンプを作りました。ゲインを目一杯に上げると、ノイズっぽく騒々しい感じになりましたが、Sメータはかなり振れるようになり、満足しました。笑ってください。
★高一中二受信機用プリアンプ外観はここです。
★高一中二受信機用プリアンプ内部はここです。

【7.14】6石スーパー
トランジスタラジオはやっぱり6石スーパーを作らないと、一応の課程を修了と言えません。電子ブロックをバラして取ったポリバリコンとバーアンテナ(前述のように、ミツミの PVC-2X とマックスの PB-450S)、通販で買った IFT、バラしたトランジスタラジオに付いていた 2S49、2S53(ちょっと古いので、「2S」の後に「A」が付いていなかったんです。)などを使って作りました。中学3年生のとき春の遠足に持っていきましたが、例によってケース がタッパーだったせいか、級友は感心してくれませんでした。本機はバラしてしまいました。IFT付き基板だけ残っています。

【7.15】グリッドディップメータ
これは高周波関係の工作に欠かせません。雑誌を見ると、B電圧が 120V くらいのトランスが使ってあります。そんなものは安くは手に入らないので、セミトランスレスで作りました。真空管はテレビに付いていた 5M-HH3。6AK5 が定番でしたが、高くて買えませんでした。(そのため、90年代に安く手に入ったときには思わず何本も買ってしまいました。わかっていただけますよね。)メータは高くて買えないので、安物の小さなラジケータでしたが、真空管式ですので、ディップは深く、よく判りました。しかし、周波数の目盛はちゃんと付ける方法がありませんでした。なお、このとき、プラグインコイル用のコネクタとして、テレビに付いていた 4P くらいの小型のコネクタと、テレビの IFT をバラして取った直径 8mm のベークボビンを使って、雑誌の記事のプラグインコイルよりスマートに仕上げました。このアイデアを思いついたときにはうれしかったです。

【7.16】テレビを改造したオシロスコープ
「CQ」誌1971年12月号に粗大ゴミの真空管式テレビを活用する特集があり、その中にテレビをオシロスコープに改造する記事がありました。テレビはたくさんバラしてそれなりに知識があったので挑戦し、うまくいきました。\(^_^)/ 松下電器のテレビでした。(東芝のも改造しましたが、うまく同期がかかりませんでした。)マイクに向かってしゃべると、それなりに波形が表示されるではありませんか。口笛を吹くと、正弦波に近い波形が出ました。もううれしくて、しばらく「あ~」だの「う~」だの言いながら波形に見とれていると、「気が変になったのでは」と心配した母がやってきました。結局この作品(テレビ)は部品取りにしてしまったようです。

【8】高校生時代 (1973年~1975年)
高校になると、物理部というアマチュア無線クラブがあり、迷わずそこに入りました。別名「帰宅部」と言われていたほどで、活動は盛んではありませんでしたが、電話級の免許を取り、思いがけず買ってもらえた RJX-601で開局できました。それ以来、今でもその RJX-601 で JR2PDC を「開局」しています。前回 QSO をしたのは 1979年ごろです。

【8.1】50MHz 用クリスタルコンバータ
「夏休みには何か作って来い」と先輩が言ったので、勉強もせず、高一中ニにつなぐ 50MHz 用クリコンを作りました。大枚をはたいて、46.5MHz のクリスタルを注文しました。「初歩のラジオ」の「読者の研究室」に高周波2段増幅のクリコンを投稿した方がいらっしゃいまして、「2段はやりすぎ」との批評でしたが、私も真似してカスコード+カソード接地の2段増幅をしたら、超再生検波と同じくらいノイズが多くなってしまいました。でも、その後トリオの JR-310 でもずいぶんノイズが多いのを聞いて安心しました。結局、夏休みが終わっても作品を出せと言われませんでしたので、出さずに終わりました。この作品はバラしてしまいました。シャーシを流用するためだったと思います。

【8.2】高周波増幅段付き3球トランシーバ
超再生式トランシーバの2号機です。少年たちがあこがれたニ光通販の「エコー3RQ」型というトランシーバの回路図が「初歩のラジオ」に載りました。これは、中学時代に雑誌を見て作った2球ニュースカイトランシーバの超再生検波回路に高周波増幅段を追加したのとほとんど同じです。それを参考にして、新たに 6CB6 による高周波増幅段付きの超再生のトランシーバを作りました。送受信の切り替えはシーメンスキーではなく、マイクのスイッチでリレーを動かしてするようにしました。(科学教材社の製品も、後期のはそうなっていました。)ところが、送信と受信の周波数が大きくズレてしまい、うまくいきませんでした。高周波増幅回路と超再生検波回路との結合コンデンサは 10PF という小容量だったのですが。(その後、5PF にした回路図も見かけました。) 結局、高周波増幅段は取り除いて2球式にしました。また、50MHz 帯用に改造したものの、だれとも交信はしていません。現状は27MHz用にしてあります。ダイヤルの左の穴は、高周波増幅段の同調用の小容量バリコンがあった跡です。作品は今も残っています。落としたので、前面パネルが曲がっています。2004年1月にテストしたら、クエンチングノイズは出たので、受信の機能は生きているようでした。送信はテストしませんでした。
★2球トランシーバの外観はここです。
★2球トランシーバの内部はここです。

【8.3】安定化電源
JA1AYO 丹羽 OM著 の「トランジスタハンドブック」に載っていた、 2SB250 が使ってあって、出力をショートしても壊れない安定化電源の回路を真似て、カーラジオから取った 2SB254 と、2SB77、2SC371 で 7V~12V くらいの安定化電源を作りました。ケースは例によってカマボコ板とベニヤ板で作りました。拾ってきた機械から取ったメータを付けました。その後、「初歩のラジオ」に載った奥澤清吉先生の回路設計の解説記事(抵抗やコンデンサの値の決め方などの説明の記事)に出ていた、定電圧ダイオードを使わずに誤差増幅のトランジスタのベースエミッタ間の 0.7V を基準電圧にする回路に改造しました。2SD147+2SC536×2 を使い、出力電圧は 2.5V ~12V 0.5A でしたが、もっと低い電圧も出せます。2000年ごろバラしました。その前に写真を撮っておくべきでした。
★定電圧ダイオードを使わない安定化電源の回路図はここです。

【8.4】CB帯用高一中一受信機
例によってラジオ・テレビをバラして取った部品を活用して作りました。6CB6:高周波増幅、6U8: 周波数変換(局発は自励)、6BA6:中間周波(455KHz)増幅、6BM8:低周波増幅、シリコンダイオード整流でした。最初、6BM8 の電圧増幅段と電力増幅段のあいだにデカップリング回路を入れなかったため、モーターボーティングが起きました。ちゃんと動きましたが、後日バラしてしまいました。そのシャーシにほかのものを組むため。
★CB帯用高1中1受信機の回路図はここです。

【8.5】モールス用低周波発振器
またまたモールス練習機です。なぜこれを作ったのかは覚えていませんが、これが初めてプリント基板をエッチングして作った作品です。以来、いまだに同じ製法(先に穴をあけ、それを目印にパターンをマジックで描いてエッチングする方法)でプリント基板を作っています。

今回ホームページを作るにあたって記録・記憶をたどってみて、やはり高校時代にはあまり工作ができなかったことが判りました。

【9】大学生時代の作品
無線部があり、すごい先輩が何人もいらっしゃいました。すごかったのは、ほぼ私たちの1年先輩まででした。OB会に集まるのが私たちの学年までなのがさびしいです。(おまえたちが頑張らなかったからだ、という声が聞こえてきそうです。)

秋葉原は遠くて滅多に行けませんでしたが、クズ屋さんには活用できるジャンクが結構あり、おかげで電子工作が楽しめました。また、初めてオシロスコープを買いました。TRIO の CO-1303G という、強制同期式 5MHz のを新品で買いました。38,000円もしました。送信機とアンテナのあいだに入れて送信波形をモニタする機能や、ツートーンジェネレータが付いたやつです。そんな機能は使うあてもないのに、なんで中古のもっと性能のいい機械を買わなかったのか不思議です。CO-1303G は2001年初めに 2nd Owner のところへ行きました。ほかに、6MHz くらいまで出るアンリツのCR発振器もクズ屋さんで手に入れ、工作が楽しめました。

【9.1】ステレオレシーバー
クズ屋さんからもらってきたカーステレオのジャンクをバラして取り出した FM IF 部とアンプ部、秋葉原で買ったフロントエンド、電源回路を追加し、1mm厚のアルミ板を曲げて作ったケースに入れました。アルミ板の加工には、大学の工作室にあったボール盤や折り曲げ機などが役立ちました。前面パネルは FL-50B を意識したデザインにしました。1年生のときはステレオラジカセを聞いていましたが、これを作ってからはこれで FM放送聞き、カセットデッキをつないでいました。レコードは,初めて買ったやつからプツプツというノイズが出たので嫌いになって買いませんでした。しかたなく、ミュージックテープを買っていました。卒業時に田舎へ持ち帰りましたが、その後行方不明です。ところで、当時のスプレー式のペイントは今のと違ってアルミに塗ってもはがれにくかったような気がしますが、気のせいでしょうか。

【9.2】真空管式オシロスコープ
クズ屋さんで、昔の簡単なオシロをバラした空のケースを見つけました。それを使って、50mm のオシロを作りました。増幅部は昔の「無線と実験」にあった回路で、掃引回路は「初歩のラジオ」の荻野谷先生のオシロの製作記事にあった回路です。ブラウン管は秋葉原へ行ったときにラジオデパート 1F の真空管屋さん(多分、光南電気)で「高橋研究所」製の「50TB1」というのを4,000円も出して買ってきて使いました。垂直軸の周波数特性は数百kHzまででした。時間軸の直線性が非常に悪く、画面の右のほうに行くにつれて、正弦波なら周波数が高く見えました。外見が非常にレトロっぽいですね。

ところで、マランツのステレオレシーバーに日立製の 50TB1 が使われていたそうで、このホームページを開設してからは、英語版を見た海外の人からたまに「入手できないか?」と問い合わせが来ます。どなたか、売っている店をご存じありませんか? Google で検索しますと、このホームページ以外では、海外の何かの教材の型番としての 50TB1 か、上記のマランツのレシーバーの話以外には、アメリカの業者の「真空管買います」のリストくらいしか出てきません。
★自作オシロの外観はここです。
★自作オシロの内部はここです。

【9.3】CB帯用クリスタルコンバータ
CB帯をカーラジオ(AM)で聞けるようにするためのクリコンです。局発は26MHzです。2SK19 を使いました。最初局発を自励発振にしたところ、アンテナコイルのコアを回すと局発の周波数が変わってしまったので驚きました。「こらあかん」と思い、結局約26MHz のクリスタルを使ってクリコンとしました。クリスタル化したのは1978年でした。
★CB帯用クリスタルコンバータの回路図はここです

【9.4】テレビゲーム (TV Game)
テニスやスカッシュのゲーム機です。「ラジオの製作」の記事の通りに作りました。AY-3-8500-1 という専用 LSI (4,000円もしました。)を使いました。おかげで、テレビゲームには飽きてしまい、インベーダーゲームが出ても、興味がわきませんでした。私の年代でインベーダーゲームをしたことがない人は稀ではないでしょうか。

【9.5】安定化電源
中身は秋月のキットの LM304(uPC142A)を使った 0V~20V のです。クズ屋で見つけたケースにスプレー塗料で色を塗り、自動車修理工場で使うような機械に付いていた大きなメータを取りつけました。メータは透明でしたが、下の部分をスプレーで黒く塗ってカッコよくしました。
★0-20Vの電源装置はここです。

【9.6】周波数カウンタ
クズ屋に電卓(いまどきのノートパソコンより大きいくらいの)が何台かあり、それをバラしたら TTL や DTL(TTLの前身!)や蛍光表示管がたくさん出てきましたので、それらを活用し、デジタル回路の基礎を勉強しながら、CQ 誌の製作記事をいくつも参考にしながら工夫して作りました。クロックはジャンクの 500KHz の水晶を発振させ、DTLで分周しました。500KHz の水晶の発振周波数がやや高すぎたので、赤チンの代わりにマジックを塗って微調整しました。初段が SN74196 なので、50MHz ちょっとまで動作します。

ラッチを使わなかったので、当然ながらカウント中はどんどん表示される値が変化ししてしまいます。これでは非常に見にくいので、対策として、カウント中だけ蛍光表示管のグリッド電圧を下げて表示を消すことにより、ラッチなしで作りました。ただし、ゲート時間の長いレンジでは、表示が点灯したり消えたりするのが見えてしまいます。1979年の作品です。
★1978年の周波数カウンタの外観はここです。
★1978年の周波数カウンタの内部はここです。

【9.7】真空管回路用電源装置 2号機
「実用電子回路 Ⅰ」という本に載っていた、トランジスタ式の定電圧電源回路を使って真空管回路用の電源装置を作りました。トランスは、テレビの電源トランスでは多分一番有名な「TPW-913A」型です。これを使い、5V、6.3V、直流 150V~400V(安定化)を出せる電源です。トランジスタ類もテレビから取ったものを使いました。一応過電流保護回路が付いていますが、試しにB電圧の出力をショートしたら、半導体類が全部死に、交換するのが大変でした。現在は故障しています。

真空管式の白黒テレビは大抵トランスレスでしたが、東芝製だけは電源トランス(TPW-913A、TPW-913B)を使ったものがたくさんありました。そのためヒーター電圧が 6.3V の真空管が使ってあり、粗大ゴミに東芝のテレビが出ているとうれしかったものです。そのトランスを使って送信機などをお作りになった OM さんは大勢いらっしゃることでしょう。2000年に Yahoo のオークションで見かけましたが、さすがに今となっては人気はなかったようです。
★真空管回路用電源装置2号機はここです。

【10】就職してから
1980年 4月に就職して上京してからの作品です。秋葉原へ通えるようになり、また残業たっぷりで資金もでき、電子工作にも進歩がありました。

【10.1】ブリッジ式容量計(お薦め)
第1号機は71年ごろの「初歩のラジオ」の東芝のページにあったもので、中学生のとき作りました。2号機は同じ構成の、CQ誌75年1月号の306ページにあった回路のです。こちらは電源が単三×1本で、1石式の低周波発信器の発振用トランスの二次側をブリッジにつなぎ、その平衡(音量最小点)をクリスタルイヤホンで検出するものです。

記事ではフルスケール 100PF~1uF(基準用コンデンサとして 100PF~1uF を切り替えて測る)ですが、最小レンジとしてフルスケール 50PF 以下のレンジを追加すると、なんとか 1PF と 2PF の区別ができるくらいの分解能になります。ストレー容量があるので、100PF 以下のレンジは専用目盛となりますが。コストパフォーマンスのよい測定器としてお薦めです。ただ、ブリッジですので、正確さは目盛を書き込む際につなぐコンデンサの容量の正確さに依存します。1号機と2号機はカマボコ板とベニヤ板でケースを作りましたが、写真の3号機は同じ回路で金属ケースに入れて作りました。約 20 年間使いましたが、その後、AADE社のデジタル表示の容量・インダクタンス計キットを買ったので、引退しました。
★ブリッジ式容量計はここです。

【10.2】周波数カウンタ 2号機
周波数カウンタの第2号機です。1981年の作品です。これは当時流行の専用 LSI (ICM7216B)とプリスケーラ(HD 10551)で作りました。最高周波数は 200MHz くらいです。プリアンプ部には少し凝ったつもりでしたが、その周波数特性は怪しいです。2000年に動作しなくなったので調査したところ、一袋いくらで買った部品の中にあった、見るからに安物の抵抗の値が変化していて、シュミットトリガ回路のバイアスが狂っていました。本機も 20年来愛用しています。2.8GHz くらいまで測れる安い製品が出まわっていますが、ICM 7216B の予備がありますので、プリスケーラを使って GHz帯まで使えるものを作ろうかと思っています。いまどきは PIC を使うのでしょうが、私にはプログラムを書く才能がないことは何度も確認できていますので。
★周波数カウンタ2号機はここです。

【10.3】オーディオ タイマー
1980年に、FM 放送の音楽を留守録音するために当時流行の専用 LSI の MM5316 を2個使い、タイマーが OFF になる時刻の設定・表示も付けたものを作りました。当時の LSI では普通のことでしたが、バッテリーバックアップ機能がありません。秋葉原のジャンク屋で買った時計用の4桁の平べったい蛍光表示管と、学生時代に電卓をバラして取った、1本で数字1個を表示する、サアブミニチュア管みたいな蛍光表示管(DG10R1)とで作りました。蛍光表示管の表示の青白い色が非常に好きでした。ジャンク屋で蛍光表示管のフィラメント点灯用に使える 4V以下の低電圧の巻き線がある小型のトランスを見つけるとうれしかったものです。
★オーディオタイマの外観はここです。
★オーディオタイマの内部はここです。

【10.4】FET 式ディップメータ
第1号機は1981年に作りました。デリカのディップメータは健在ですが、1.5MHz 以下もカバーしたいこともあって FET 式のを作りました。CQ誌 1970年12月号の記事に、各種の回路を実験・検討した上で作ったとありましたので、その回路で作りました。変調用の低周波発振回路は別の記事の回路です。周波数範囲は400kHz から 220MHzです。ケースはタカチの MB-11です。半導体式は真空管式に比べてディップが浅く、発振強度を変えたときの発振周波数の変化が大きいのが難点です。

右下のは 400kHz~1.6MHz用のコイルです。2.5mH の RF チョークの芯を割って上手にコイルを抜き取り、直径 8mmのベークのボビンに移し変え、ベークボビンは小型のコネクタのプラグにはめて接着してあります。前に写っているのは水晶を発振させるときに使うアダプタで、プラグにミノムシクリップが2個付けてあります。デザインはデリカのを真似しました。2000年になって、まったく同じ回路と外観で作り直しました。内部の配線が気に入らなかったので。
★ディップメータ3号機はここです。
★ディップメータ3号機の回路図はここです。

【10.5】音声多重チューナ(音声のみ)
秋月電子のキットには、CD894 という PLL の IC を使って第2音声だけを聞く簡易版があり、それを 1980年に作りました。1982年には「電波科学」1979年 4月号の復調回路を基本に、UHF コンバータと VHF チューナも組み込んだものを作りました。動きましたが、ほとんど使いませんでした。現存しますが、音声多重復調回路の基板は取り出して別の復調器に流用してあります。
★音声多重用アダプタ1号機はここです。
★テレビ音声用チューナの外観はここです。
★テレビ音声用チューナーの内部はここです。

【10.6】音声多重復調アダプタ 2号機
テレビにつなぐため、チューナー回路はありません。【9.5】の音声多重復調基板を取って使いました。オペアンプによるヘッドホン用アンプ回路も内蔵しています。
★音声多重用アダプタ2号機はここです。

【10.7】パルスジェネレータ
「トランジスタ技術」の1975年 2月号の回路を基本にして 1982年に作りました。一応基本動作の確認はしましたが、多レンジ化のためのコンデンサをロータリースイッチに配線しないままです。「そのうちに」と思って早 24年。今も未完成状態でちゃんとしまってあります。完成は定年退職後になりそうです。

【10.8】充・放電器
ニカド電池とニッケル水素電池用の充・放電器です。1992年の作品です。そのときは数年ぶりにプリントパターンを描いたので、最初はなかなか筆が進みませんでしたし、基板もずいぶん大きくなってしまいました。2001年にパターンを描き直し、小さな基板ができました。

メモリ効果防止と、直列にして使った電池の放電状態のバラつきをそろえるための放電器がメインで、本体上の電池ホルダは放電用です。電池をホルダに入れて緑のボタンを押すと放電が始まり、一定の電圧になるとコンパレータが働いて自動的に放電が止まります。

各々の電池の放電状況(電圧)は小さい丸いラジケータで見ることができます。放電が終わったら、適当な電池ホルダに電池を入れて、本体右上の赤と黒の端子につないで充電します。充電回路は LM317T の電流制限機能を使った簡単な回路です。充電電流は 18mA、50mA、70mA、120mA の中からロータリースイッチで選ぶようになっていますが、現在売られている電池の容量に合わせてレンジを追加したいと思い、160mAレンジを追加しました。なお、単ニの電池用のホルダがないのは、単一用のバネをちょっと伸ばして単ニ用を兼ねているからです。
★Ni-Cd/Ni-MH電池充放電器はここです。
★Ni-Cd/Ni-MH電池充放電器の回路図はここです。

【10.9】実験用電源
メトロニクス社の製品のデザインを意識して縦型にしました。定電圧電源は1980年に作りました。0~±15V です。基本は秋月電子通商の LM304 の電源で、それにオペアンプを使ってマイナス側を追加したものです。最初は写真の電圧計、電流計の代わりにラジケータに目盛を書き込んで使っていました。2000年に電解コンデンサを新しいものと取り替えたついでに、香港の部品屋で450円くらいで買った安物のメータに交換しました。このメータ、韓国製のようです。目盛が等間隔ではありませんし、針の振れが急ですが、十分使えます。
★定電圧電源の外観はここです。

定電流電源は1998年に作りました。おもに充電式電池の充電に使っています。以前はニカド電池の電流容量の種類も限られていましたので、充電電流の種類も多くはありませんでしたが、ニカド電池が改良され、またニッケル水素電池も出まわるようになって、固定の電流値では都合が悪いので作りました。回路は LM317T の電流制限機能を使った簡単な回路です。006P のニカドも充電できるよう、9mA くらいから単一型のも充電できるよう、500mA までに対応しています。そのためには電流設定の可変抵抗器は一つでは済まず、二つ使ってあります。100Ωと 30Ωが直列にしてあります。0.47Ωの固定抵抗と直列に。
★定電流電源の外観はここです。

【10.10】真空管回路用電源装置 3号機
8.7項の電源装置の後継機種です。トランジスタ7石による基礎的な安定化回路で、B電圧は 200V~470V、負荷を 100mA まで増やしたときの電圧安定度が -0.3% 以内です。フィラメント/ヒータ電圧は 2.5V、5V、6.3V が出せ、その組み合わせでほかの電圧も出せます。B電圧出力の短絡保護回路は一応付けてありますが、400Vのような高い電圧を出した状態で出力をショートして壊れないかどうかは確認していません。試してみて、1.2-8項の電源みたいに半導体全部が死ぬと交換が面倒なので。(^^;

なお、今では Power MOS FET と LM317T を組み合わせた回路がこれより簡単で高性能です。
★真空管回路用電源装置3号機はここです。

【10.11】ウルトラダイン受信機
「模型とラジオ」1969年 3月号に出ていたのを、1998年に童心に返って作りました。当時、ラジオ少年たちが科学教材社の広告を見てあこがれていた 受信機です。使用球は 6GH8A と 6BM8 です。(オリジナルは6GW8ですが。) 25MHz までは 6GH8A の 5極部で再生検波する 0-V-2、25MHz~150MHz までは 3極部で超再生検波をします。後ろの方に見える出力トランスは、昔東芝のテレビからはずしたもので、引出し線のビニールの被覆の色が黒、黄、緑、赤です。懐かしいでしょ? ぜいたくにも 1:3 の低周波トランスが使ってあり、これが電源トランスからの磁束を拾っているのか、ハムが出ます。

低周波トランスは米国の Antique Electronic Supply社(www.tubesandmore.com)から買いました。30mm のプラグインコイル用のボビンも同社から買いましたが、ピンを固定するのに、あろうことか接着剤が使ってあり、はんだ付けの熱ですぐにグラグラになってしまいました。なお、1:3 の低周波トランスを使わずに済ませたい方には、「初歩のラジオ」1972 年 5月号の松下電器のページに出ている回路があります。

スピーカーグリルはスピーカボックスを自作する人用に売っているものです。BC帯用のコイルは巻くのが面倒なので、5球スーパー用のアンテナコイルを流用し、G-E の巻き線にK のタップを付けて使いました。科学教材社のホームページには、オリジナルとそっくりに作ったものが出ています。
★ウルトラダイン受信機(前面)はここです。
★ウルトラダイン受信機(背面)はここです。
★ウルトラダイン受信機(内部)はここです。

【10.12】スペアナアダプタの改良
秋月電子通商の \8,800 のスペアナアダプタ(オシロスコープにつないで、オシロスコープをスペアナにするアダプタ)キットの製作記が CQ誌と、今はなき「モービルハム」に出ていました。オリジナルのままではいろいろ問題があるとの指摘がありましたので、スペアナにあこがれていた私は買ってきて改良を試みました。「あのスペアナキットを完成するにはスペアナが要るらしいよ」という話も聞きましたが。

改良点
(1) テレビのチューナの出力(キットでは約32MHz)をセラミックフィルタの周波数(5.5MHz)に変換するクリスタルコンバータを「モービルハム」の記事の通りに追加した。
(2) 掃引回路は4石のアンプを設計して追加した。
(3) ログアンプ部分は FMラジオ用のICをやめ、その筋では有名な MC3356P をアメリカの通販業者から買って使った。(その後、秋月電子通商でログアンプ IC (AD8307 だったかな) を売り始めました。)
(4) テレビチューナは周波数範囲が広い米国用を米国の通販業者から買って交換し、表示周波数の範囲を広げた。オリジナルのキットでは1つのバンドで 350MHz までだったのが、450MHzまでになりました。このテレビチューナは追加注文しようとしたら売り切れでした。もう入手できないでしょうねえ。

なお、このキットにはプリント基板が付いていませんので、電源部以外はプリント基板を起こしました。写真の左が米国バンドのTV チューナ、その右のがスイープ回路、右上が電源、下段中央がクリスタルコンバータ、右下がフィルタ+ログアンプ部です。

結局、本物のスペアナとそっくりな画像がオシオスコープの画面に現れました! 1m くらいのコードを入力端子につなぐと、FM 放送やテレビの電波がはっきりと画面に出ます。さらに、MC3356P にしたおかげで正確に画面の 1cm が 10dB にできます。しばらくのあいだ、いろいろな電波を受信しながら、画面に見とれていました。しかし、下記の問題点が残っています。

問題点 (1) スプリアスが15個くらい表示される。(無入力でも15個くらいの信号が表示されてしまう。)各基板をシールドケースに入れてないせいもあるかもしれませんが、クリスタルコンバータが DBM でないため、局発の信号が漏れて悪さをしているのではないかと思います。DBM 化しようと思っていますが、中断中です。DBM 化して全部消えるかどうかは疑問ですが、少なくなれば、あまり邪魔にはならないでしょう。
(2) 周波数特性が非常に悪い。250MHz 付近に 20dB くらい感度が悪いところがあります。これはテレビチューナのせいだと思います。
(3) 周波数軸の直線性が非常に悪い(周波数目盛が等間隔にならない)。とくに 350MHzくらいより上で著しい。これもテレビチューナのせいだと思います。(テレビでは問題ないですが。)これは、「モービルハム」の記事のようにマーカー発信器を追加すれば対処できます。私は調整用とマーカー用を兼ねて、100KHz~990MHz の信号発生器を使いました。
(4) IF 回路のフィルタの帯域が 350KHz ほどもあって広いため、接近した信号の区別ができない。この点については、IF を 10.7MHz に変更し、一番帯域域の狭いセラミックフィルタ (SFE10.7MJ)を2段にして改善しようと思い、プリントパターンもそのように作りましたが、そのセラミックフィルタを売っているところが見付かっていません。(その後、オークションのおかげで入手しましたが、とき既に遅し。)なお、SFE 10.7MJ 程度では、混雑したハムバンド用のバンドスコープには使えません。
DBM 化しないうちに私は中古のスペアナを買ってしまい、スペアナアダプタ キットの改良 はキットの改良は中断してしまいましたので、バラック状態のままです。動きますが。
★スペアナ実験中の写真はここです。

【10.13】停電アラーム
両親が養鶏業をしていました。停電すると夜でも自家発電に切り換える必要があり、そのためのアラームとして1983年に作りました。AC100V が来ているときにはスイッチとなるトランジスタが逆バイアスとなって動作せず、またニカド電池が微小電流で充電され、AC100V が断となると、そのニカド電池で発振回路(マルチバイブレータ+圧電ブザー)が動作して「ピーピーピー」と鳴るだけのものです。私の作品の中で両親に一番(唯一?)感謝されたのはこれです。それ以前には、昔弟の夏休みの工作として作らせた、リレーとベルを使ったものでした。養鶏をしていない現在では出番もなく、バラしてしまいました。
★停電アラームはここです。
★停電アラームの回路図はここです。

【10.14】地震のとき自動点灯する懐中電灯
阪神淡路沖大震災の後に作りました。水銀スイッチを2個使い、揺れると一定時間自動的に点灯する懐中電灯です。市販の単Ⅰ電池×4本用の懐中電灯を買ってきて、電池2本分のスペースに回路を組みこみ、電球は 3V用と交換しました。スイッチで普通の懐中電灯にもなります。回路は90年代の「ラジオの製作」に載っていた、2石式の単安定マルチバイブレータです。時限スイッチとしてはコンデンサが放電するにつれて明るさが暗くなっていく回路がよくありますが、本回路では消えるときまで同じ明るさです。ただ、トランジスタがスイッチング素子ですので、C-E間の電圧降下のため、やや暗くなります。パワーMOS FET で Vgsoff が小さいものを使えばよかったと今は思います。

親兄弟の家の分まで含めて8台くらいも作り、私の作品中最もたくさん製作した機種です。しかし、みんな「へんなものを押し付けられた」と思ったに違いありません。我が家でも、しばらく子供のおもちゃになっただけでした。「災害は、忘れたころにやってくる」
★地震のとき自動点灯する懐中電灯の写真はここです。

【10.15】4石レフレックスラジオ
高周波増幅兼低周波増幅段の後に3石のアンプ回路を付けたラジオです。1998年に作りました。田島一作先生のこの製作記事は「初歩のラジオ」1968年12月号に出ていました。トランジスタは記事の通り、2SA355-2SB75-2SB77pp です。バリスタ「HV-15」が見あたらなかったので、2SB77 のベースとコレクタをショートしたもので代用しました。プッシュプル段のエミッタに共通の抵抗10Ωは別々とし、歪率計をつないで歪が小さくなる値に調整しました。

スーパーではないトランジスタラジオでは最高性能のラジオだと思います。分離がよく、多摩川に近い川崎市内の自宅で東京の放送が全部分離できました。LA1050 のラジオや、並四ラジオではこうはいきません。感度もよく、バーアンテナだけでも6石スーパーに負けずにガンガン鳴ります。しかし、ストレートの悲しさ、田舎(山間部)へ持っていったら、昼間は何も聞こえませんでした。さすがにスーパーは偉い。

なお、この「初歩のラジオ」の記事の回路図では、電池の極性が逆に描いてありますので、これからお作りになる方はご注意ください。
★4石レフレックスラジオはここです。

元ラジオ少年としては、科学教材社で売っていたキットを片っ端から再現していきたい気もします。